金融庁「貸付特約書の書式例」をそのままコベナンツに — 有利子負債/EBITDA 倍率・DSCR・提出書類のテンプレートと、監督指針改正への準拠項目を追加
企業価値担保権の実務向けに金融庁が公表した「貸付特約書の書式例」第 4 条を、そのままモニタリングのコベナンツ・テンプレートにしました。有利子負債/EBITDA 倍率・DSCR・預金残高は実績登録時に自動判定、計算書類・税務申告書・月次資料・コベナンツ等報告書は担保契約の報告スケジュールへ展開します。あわせて 2026 年 5 月適用の監督指針改正(貸出条件緩和債権の除外要件)を準拠マトリクスに追加しました。
金融庁「貸付特約書の書式例」をそのままコベナンツに
2026 年 9 月 11 日、refinancier のモニタリング機能に「貸付特約書テンプレート」を追加しました。 金融庁が 2026 年 3 月に公表した「企業価値担保権信託契約等の書式例」のうち、貸付人と借入人が結ぶ 貸付特約書 第 4 条(借入人の確約) を、書式例の条項どおりにテンプレート化しています。書式例に書いていないことは入れていません。
この記事の要点
- 財務制限条項を自動判定: 借入総額返済余裕度(有利子負債/EBITDA 倍率、別紙 1 の定義)・EBITDA を正の値に維持・短期返済余裕度(DSCR)・預金残高の維持を、実績データの登録と同時に判定します。閾値は書式例では空欄(●)のため、金融庁の解説が引用する海外の水準(有利子負債/EBITDA 倍率 3〜5 倍、DSCR 1.25 倍)を目安として表示し、案件ごとに必ず確認・上書きしていただきます
- 提出書類を報告スケジュールへ: 計算書類等・税務申告書の写し・事業計画・月次資料・コベナンツ等報告書(別紙 2 様式)・月末預金口座残高一覧表を、企業価値担保権の契約の報告受領台帳に期日付きで展開します。受領と遅延は既存の期限ジョブが監視します
- 事前承諾事項は参考表示: 重要な変更の禁止(別紙 3 で承諾依頼)・担保提供制限・キーパーソン条項・極度額・事業計画変更の事前協議・即時報告義務は、自動判定できないため条項と運用先(同意事項台帳)を示すにとどめます
- 抵触は協議の機会: 各テンプレートの「違反時のアクション」には第 4 条 7 項(抵触時の説明義務等)を既定で入れています。抵触を直ちにデフォルト事由とせず、資金繰り見通しと回避見通しの説明を受け、伴走記録に協議を残す運用です
- 監督指針改正に対応: 2026 年 5 月 25 日適用の監督指針改正で新設された「貸出条件緩和債権の除外」(中小・地域金融機関向け Ⅲ-4-9-4-3、主要行等向け Ⅲ-3-2-4-3)の要件を、準拠マトリクスの項目 C15 として追加しました。事業計画・実績・報告受領・伴走記録という疎明材料が揃っているかを契約ごとに表示します。実現可能性の判断そのものは金融機関の与信判断であり、システムは判定しません
使い方
モニタリング画面のコベナンツ一覧で「貸付特約書テンプレートから追加」を押し、企業を選んで必要な条項にチェックを入れ、閾値を確認して適用します。財務制限条項はコベナンツとして登録され、提出書類はその企業に企業価値担保権の契約があれば報告スケジュールに追加されます。
出典
金融庁「企業価値担保権信託契約等の書式例に関する勉強会 議事概要及び書式例」(2026 年 3 月 11 日公表、5 月 22 日改訂)、「貸付特約書の書式例(コベナンツの規定例)に関する基本的な考え方」、「事業者と金融機関の信頼関係に基づく事業性融資に関する基本的な考え方」(2026 年 5 月 18 日)、主要行等向け・中小地域金融機関向け監督指針の一部改正(新旧対照表)。